脱ぶら下がり奮闘記

ゆるふわな感じで日々の出来事や考え事を書き連ねるブログです。

若手の挑戦を見送る人の心境

先日友人が転職した。その友人は名前を聞けば誰でも知っているメーカーに勤めていて、この度名前を聞けば誰でも知っている広告代理店に転職することになった。

 

友人はエネルギッシュだった。地方に転勤になっても毎月の様に東京に来て友人と会ったり転職活動したり。今の仕事に不満を持ちながらもそこで腐るのではなく次にどんなステップに進むか一生懸命考えていた(様に見える。ひいき目もあるかもしれないけど)

 

友人の転職先が決まり上司に報告する瞬間が来た。

 

自分も経験あるがこの瞬間はとても緊張する。今までお世話になった人への恩は感じつつも次のステップに進みたい思いもあるし、恩返ししたいけどここではない場所の方が頑張れる自分がいるのも知っている。もしかしたら上司から「お前ふざけんな!」と怒られるかもしれない怖さも入り混じって振り絞りながら伝えた転職報告。上司からは意外な返答があった。

 

「お前よくやったな」

 

 「あんま大きな声じゃ言えないけど直属の部下になった奴らには必ず転職サイトに登録させてんだよ。うちは大手だし、時間はかかるけど上に行けばそれなりに大きな仕事も任せてもらえるようになるけど、、、やっぱ若いうちは東京にいた方が良い。東京には色んな仕事、人、情報が集まるから、若い頃はそこで沢山揉まれた方が後々自分のためになる。この環境は恵まれてるけど、うちだけがすべてじゃない。そのことを知って欲しくて転職サイトにも登録させてるんだよな。表向きは『自分にどんな市場価値があるのか知っておけ』って言ってるんだけどさ。」

 

「そういえば最近俺の娘も最近転職したんだ。だからってわけじゃないけどお前の転職はすごく良い決断だと俺は思う。俺はそれなりの役職になっちゃったし、年齢も家族もあるから今からどうこうできるわけじゃない。たまに東京に住んでる家族に会いに行くけど、俺も若いころに戻れるならあの町で挑戦してみたいな。いやーお前が羨ましいよ。東京行っても元気でやるんだぞ!」


上司の娘が転職したばかりとか、東京に家族を残して地方で働いているとか、部下に転職サイト登録させていたとか、友人はその時初めて聞いたらしい。

 

この話を聞いた時、恥ずかしながら友人と2人で泣いてしまった。恐らく上司は自分がもう挑戦できる状態ではないことを知っていた。それが体力・気力的になのか、市場価値云々の話なのかは重要ではないが恐らくそのどちらもだろう。

 

『今の自分に後悔があるわけではないが若いころに戻れたら多少給料が下がってでも心からやりたいと思える仕事に挑戦したい。家族と離れ離れになって暮らすのは辛いけど、今の職場でこの役職に就けるまでに何年もかかった。家族を養っていくためにも今さら辞める選択肢はない。ただ、これから自分の部下になる者には自分の様になって欲しくない。名前のある会社でそれなりの役職に就くまでに何年もかかった。気が付いたら人生をかけて挑戦できる年齢ではなくなっていた。今の俺にできるのはこれから挑戦していく者を応援するだけだ』

 

完全に推測でしかないが、友人の上司はこんなことを思っていたのかもしれない。かなりの拡大解釈であることはわかっているがそんなに大外れはしていないと思う。

 

僕たち2人に上司の方を馬鹿にする気持ちは一切ない。家族を養うために大企業で一生懸命働いて昇格してやっとの思いでここまで来た自負はありながらも、ここを去って新たに挑戦していく若手を前に思う所があったのではないか。様々な感情が交錯するなかで去って行く部下に「よく転職した」と言える人は多くない気がして、その上司の心境を考えると何も言葉が出てこなかった。